加齢臭は、男性だけのものではありません。女性も40歳前後から、加齢臭が出てくる方が増えます。
加齢臭は、毛穴の皮脂腺から出てくる脂が、加齢によって酸化した状態で出てくることで起こります。
ここでは女性の加齢臭の原因や、予防対策などをご紹介していきます。
加齢臭の原因と匂いがキツイ部分
男女とも加齢臭とは「脂臭い」もの
加齢臭は、油が腐ったような”脂臭い、青臭い”ニオイを持った臭気です。
一般的に加齢臭は、「揚げ物で使う油が酸化して腐ったニオイ」「草木が枯れたようなニオイ」などと表現されることが多いです。
まれに「え、私は加齢臭なんてないわよ」と自分では加齢臭の自覚が無い方もいますが、実は強烈な加齢臭を放っていることもよくあります。
ある報告では、「人間は長期間同じニオイをかいでいると、感覚神経が鈍るため、そのニオイに慣れてしまう」といわれています。
「自分に加齢臭があるかどうか」、というのが最も分かりやすいのは枕の匂いです。枕のニオイをかいでみて、枕が臭い女性は加齢臭が出てきている可能性があります。
男女の加齢臭、どこから一番匂う?
男女とも加齢臭は頭や首回り、耳の後ろ、胸や背中などから、多く発生します。
加齢臭が出やすい部位は、「皮脂が多く、脂っぽい部分」です。
皮脂腺は全身にありますので、加齢臭の出どころも全身に散らばっています。以下が、加齢臭が発生しやすい部位です。
- 頭部
- 顔
- 首の回り
- 耳の後ろ
- 胸
- 背中
- ワキ
- デリケートゾーン
特に皮脂腺が集中している部分は、デリケートゾーンから上の上半身です。
耳の後ろや首回りなど、自分ではニオイがなかなか気付きにくいところからも加齢臭は出ています。
[参考文献]どう防ぐ?加齢臭対策 | 知って、なるほど化粧品 | 研究開発 | 資生堂加齢臭は「ワキガ」とは違う?
加齢臭は、「ワキガ」とは全く違います。
「ワキガ」が臭う大きな原因は、汗腺から出る汗と皮膚の雑菌が混ざり合って反応することです。
ワキガから出る汗は、普通の方の汗と比べると、タンパク質や脂質がとても多く含まれています。これにより、雑菌も繁殖しやすくワキガのニオイも強烈になります。
一方「加齢臭」は、皮脂腺から出る9-ヘキサデセン酸という脂肪酸の成分が酸化して、毛穴から出てきたニオイです。
「ワキガ」と「加齢臭」は原因が全く違うので元々ワキガ体質の方が、加齢臭とワキガのニオイをダブルで発することももちろんあります。
[参考]【産後のワキガはずっと続く?】産後にワキガになりやすい理由と5つの対処法女性の加齢臭が30代から増え始める原因は?
加齢に伴い皮脂の酸化度が高まる
女性の加齢臭の原因は、加齢により、皮脂がどんどん酸化して噴き出てくることで起こります。
加齢臭の腐ったような独特のニオイの原因は「ノネナール」という皮脂腺から出る、脂肪酸が酸化してできた物質です。
脂肪酸の酸化は、鉄が酸素に触れ続けることでサビていくのと同じようなもので、人間の体にとってはあまりよいことではありません。
そして、脂肪酸を酸化させてしまう主な原因が「活性酸素」です。
活性酸素は息をすれば必ず生まれるものですし、体には必要なものです。しかし一定以上に増え過ぎた活性酸素は、体の免疫力を下げるなどの悪影響を与えます。
そこで活性酸素を減らしてくれるのは「抗酸化物質」ですが、人間は加齢に伴って、体内で抗酸化物質を作る量が減ってきます。
10代や20代などの若い頃は、抗酸化物質を体内でキチンと作り出すことができます。ですから、脂肪酸の酸化を防いで、活性酸素を発生しにくくしてくれます。
これは研究でも分かっていますが、10代や20代での若年層では、加齢臭の元となるノネナールは発生しません。
女性は30代に入り加齢による身体の老化が進んでくると、抗酸化物質を作り出す力が弱まり、加齢臭の源となるノネナールが増えてきて加齢臭が出てくるということになります。
女性ホルモンが減少し、男性ホルモンが増える
女性の加齢臭が30代から増えるのは、「女性ホルモンが減少し始めるのは30代頃から」というのも、大きな理由です。
女性ホルモンは皮脂を抑える働きがあり、男性ホルモンは皮脂を増加させる働きがあります。
加齢臭が男性に多いといわれるのは、元々男性は、男性ホルモンが多く分泌される「性」を持っているからです。
女性は35歳前後から閉経に向かう準備をするために、女性ホルモンの分泌量が下がり始めます。そうすると、男性ホルモンの分泌量のほうが上回ってしまい、女性の皮脂腺から出る皮脂量が増えます。
女性ホルモンの減少は、加齢臭のニオイの増加と直結しています。
[参考文献]女性の加齢臭について|女性内科 - 七條胃腸科内科医院女性の加齢臭を予防する9つの対策!
ここからは「加齢臭を予防したい!」という女性のために、女性の加齢臭を予防するための対策をご紹介していきます。
①シャンプーは1日1回を限度に
1日に何回もシャンプーをすると皮脂が全く無くなって、脳は「あ!皮脂がなくなった!肌を守らなくちゃ!」と、皮脂をまたせっせと作り出そうとします。
結果、大量の皮脂が頭頂部に出てきて、かえって加齢臭が強烈になることがあります。
皮脂は実は大切なもので肌から水分が抜けないように、フタの役割を果たす成分でもあります。
シャンプーは、1日1回、頭部の肌に良いノンシリコンシャンプーなどを使用して優しく洗う程度に留めましょう。
シリコン入りシャンプーは、髪をコートしてツヤを出しますが、シリコンが頭皮の毛穴に詰まりやすいです。加齢臭対策としては、ノンシリコンシャンプーがいいでしょう。
②肉類・添加物を控える
肉や揚げ物など、脂肪分を多く含む食べ物は、加齢臭のニオイを発する「ノネナール」が出来る最初の要因になる「活性酸素」を作りやすくなります。食べる時は少量にしましょう。
添加物も活性酸素を増やしやすくしますので、なるべく控えるようにしましょう。加工食品、冷凍食品、スナック菓子などにも添加物は多く含まれまれています。
③食物繊維・発酵食品を摂取する
食物繊維は腸で悪い物質をからめとって、便として体外へ出してくれる素晴らしい食材です。
酸化体質にならないためにも、海藻類やきのこ類などは積極的に食べましょう。
また、発酵食品も乳酸菌成分のチカラで腸に良い刺激を与えて、老廃物を除去していくサポート作用を持ちます。
ヨーグルトやみそ汁、麹食品などを食べると便通もよくなり、食物繊維と同じようにスムーズな便の排出を促してくれます。
④抗酸化作用の強い食材を食べる
豆腐や納豆などの大豆製品を沢山食べるとイソフラボン成分により、過酸化脂質が作られにくくなりますので、加齢臭が抑えられるようになります。
以下で、抗酸化作用の強い食材をご紹介します。
《抗酸化作用の強い食材BEST7》
①大豆製品
②トマト
③アボカド
④バナナ
⑤緑茶
⑥カカオ
⑦にんにく、しょうがなどの香味野菜
《抗酸化作用の強い成分やビタミン&ミネラル》
- イソフラボン
- ポリフェノール
- カロチン
- リコピン
- ペクチン
- セサミン
- カテキン
- ビタミンA(βカロチン)
- ビタミンC
- ビタミンE
- セレン
- 亜鉛
毎日の食事で、上記のような成分が入ったサプリや食材を利用した食事を食べると、加齢臭の予防につなげることができます。
⑤飲酒を控える
お酒は多少ならかまいません。しかし飲み過ぎてしまうと、肝臓でアルコールを分解する際に、副産物として活性酸素が大量に生まれます。
大量の活性酸素は加齢臭の元になるノネナールを作る元になるので、加齢臭が増します。飲み過ぎには注意しましょう。
⑥喫煙を控える
タバコを吸うと、ニコチンやタール成分を撃退するために、沢山の活性酸素を作り出します。何度も言いますが、多すぎる余計な活性酸素は、加齢臭の元のノネナール成分を発生させます。
そしてまた抗酸化成分であるビタミンCもニコチンやタールで破壊されるため、酸化に拍車をかけてしまいます。より加齢臭はキツくなることが分かっていますから、タバコは控えましょう。
⑦十分な睡眠とストレスをためない
人間の体はストレスを受けると、、ストレスを弱めるために「副腎皮質ホルモン」を出します。するとこの時、活性酸素も同時に生まれてしまいます。
またストレスを受けた時は、タバコを吸った時と同じく抗酸化作用のあるビタミンCを大量に消費してしまうので、このことでも活性酸素が増えます。
十分な睡眠をとってストレスをためないようにすることが、ひいては加齢臭予防にもつながります。
⑧有酸素運動や軽い運動をする
女性の加齢臭対策としての運動は、激しい運動ではなく、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をすることが理想的です。
激しい運動は呼吸量が増加して、体内に酸素を余計に取り込んでしまうので、活性酸素がいつもよりも増えてしまいます。
ヨガやストレッチなどの軽い運動で、活性酸素を増やさずに健康的な体を作ることが加齢臭を抑制する動きにもつながっていきます。
⑨デオドラント機能付きの商品を使ってケアする
特に加齢臭が強くニオイやすい部分は、殺菌効果や消臭効果の高い「デオドラント機能」のついた製品を使うと加齢臭のニオイを抑えることが出来ます。
※各部位に合わせたデオドラント製品を使うと効果的※
①「顔」・・・洗顔料やスキンケア商品
②「頭」・・・シャンプー
③「胸」や「背中」・・・ボディソープ
④「ワキ」・・・制汗剤
また加齢臭が気になるところに、各部位殺菌や消臭効果の高い成分入りのデオドラント製品を使うことで、加齢臭を予防していくことが出来ます。以下で、殺菌・消臭効果の高い成分をご紹介します。
《殺菌・消臭効果の高い成分》
- 竹炭
- 柿タンニン
- ミョウバン
- 茶カテキン
上記の成分が入った石けんやボディシャンプー、洗顔料などを使うと加齢臭が抑えられる効果が高まります。
まとめ
加齢臭のニオイの原因は、脂肪酸と過酸化脂質で発生する「ノネナール成分」です。
そして女性の加齢臭は、加齢により次第に女性ホルモンが減少し、毛穴から出て来る皮脂の酸化が強まることでも起き始めます。
加齢臭はノネナールで匂うようになります。ノネナールは活性酸素が増えると、発生しやすくなるので、まずは活性酸素を抑える生活を送りましょう。
ここでご紹介した予防対策で、年齢を重ねても加齢臭が臭わない”加齢臭に悩まされないカラダ”を手に入れていきましょう。